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2010年9月

2010年9月 9日 (木)

「アリ地獄」に陥らないビジネス

59  車を運転する方、ガソリンの価格がなかなか下がらないので困っていますよね。セルフで給油している方も多のでしょうが、私は窓拭きやゴミ出し、中拭きタオルの提供などに頼り、車内にいて済む不精な選択をしています。

 当然のことながら、このようなサービスで顧客の獲得合戦をしているスタンドは、大して儲からない給油でも、これを入り口にタイヤ交換や車検、その他サービスで実際の経営を成り立たせているのが実情です。ですから、窓拭きも「窓を拭いてよろしいですか」とはいうものの、形式的にやっているところが結構ありますよね。

 そこで、私の車はというと、この形式的な窓拭きでは、困ったことがひとつあります。
 実は、私の車の駐車場は、もともと周囲を木々に囲まれた農地を、自社専用に5台分借り受けたもの。なので、車のフロントガラスやボンネットには、カラスやトビの大きな糞がボタっと落ちていたり、赤い小さな桜の実や紫色の桑の実など、さまざまな木から落ちた実が、車のあちこちで小さな塊として付着してしまいます。鳥の糞は放っておくと石灰化して、ボンネットの塗装まではがしてしまうので大変にヤッカイです。
 ですから、スタンドの店員さんが窓拭きをしてくれても、この糞や木の実のしつこい汚れ部分は「拭き残し」というケースが結構あるのです。

 ところが先日、時々お世話になっているスタンドで、こんなことがありました。
 窓拭きをしてくれた男性は、もう50台も後半でしょうか。汗だくになりながら一生懸命、車の窓を拭いてくれました。実は洗車をして間もないので、あまり汚れてもいなかったはず、給油も終わり、窓もきれいになって、お勘定かと思ったら、再度、違うスプレーを持ってきて、フロントガラスを眺め、ある一点を拭きだしたのです。直ぐに終わったのですが、終わった瞬間、車内で見ていた私と眼が合い、ニコッとして、「きれいになりましたよ」と笑顔で言ったように感じました。わたしもつられて、思わず「ありがとう!」と車内から笑顔で応えていました。一切言葉は交わさなくとも、その瞬間、2人には何ともいえないすがすがしい空気が流れました。

 話は変わって、大手電器店がひしめく首都近郊の、ある地元の電器店。顧客のほとんどがお年寄りなのですが、大手に負けず繁盛しています。デジタルやリモコンなど、いくら安く買っても使えないのがお年寄り。そこで価格は大手量販店より高いのですが、従業員がおうちに出向き、何時間でも親切に、できるまで優しく教えてあげることが繁盛のヒケツとなっています。さらに、買い物もしてあげる、独居のお年寄りには話し相手にもなってあげる。量販店より高い価格に付加価値がついて、他店との差別化を明確にしています。

 ネットビジネスが主流になりつつある現在、「顔の見えない」ビジネスであることから、商品価値としては「価格」だけに主眼がおかれがちです。しかし、本来、対面販売の「商い」には、売り手と顧客の間に、「ありがとう!」と「どういたしまして」といった心の交流から相互の信頼関係と顧客満足が培われてきました。「価格競争」の行き着くところは、共倒れのアリ地獄。デフレ時代のビジネス再生のヒントは、「あのお客様のために」「このお客様のために」といった、本来の「商いの心」をどこまで商品やサービスとして姿にできるかにあると考えています。ビジネスに携わるものは、普遍的な「商い」の価値観をもう一度見直し、「アリ地獄」に陥らないサービスや付加価値のあり方を、改めて追求することが大切です。

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