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2009年11月30日 (月)

「事業仕分け」の行方

52  民主党の「行政刷新会議」では27日までに「事業仕分け」が終わりました。これからが本番の会議で、それぞれの仕分け結果について、今後どうするかの具体的な決定がされていくわけです。
 さて、この事業仕分けにはさまざまな意見がありました。「国民の前に税金がどのように使われているか初めてオープンになったことは大いに評価」「大切なことをわずか1時間ばかりで結審するのは無謀」「公開処刑みたいで民主党のパフォーマンスに過ぎない」「はじめに削減ありきで事の重要度を無視している」などなど。

 まあ、何事も初めてのことには賛否両論あるでしょうが、はっきりしたことは、私たちの想像をはるかに超えた税金が、役人の使いたい放題に使われてきた恐るべき実態が浮き彫りになりました。それを追認または一緒になってムダ使いしてきた前政権の罪も見逃すことはできません。当分の間は自民党に弁明の余地なく、何を言っても「負け犬の遠吠え」になってしまうのではないでしょうか。

 ただ、経費を全部洗い出してコスト削減をするのは良いのですが、実は今回の事業仕分けは、手順が逆さまになっているのです。つまり、企業経営でいえば、赤字経営でコストを削減しなければならないとき、まずは企業が存続するアイデンティティを明確にするわけです。それをふまえて今後、自社はどのような戦略で生き残りをかけていくのか、その機軸をしっかりと定めます。まさにその上で戦略を立て、その戦略に基づき何を削減し、何に集中と選択で投資をするのかを決めていきます。

 ですから政治も企業経営と同じで、民主党の言う「戦略局」がまず日本のあるべき姿を明確にして基本戦略を定め、その戦略の上に立ってこの事業仕分けを行えば、ノーベル賞受賞者の批判と抗議も、また「コンピュータは2位ではダメなの?」という門外漢の素人判断が槍玉に上がることもなかったはずです。つまり何に国家が優先的にお金を使うかを決めないで、ただコスト削減では「財務省の手の上で躍らされている事業仕分け」と言われてもしょうがない部分もあります。

 ともあれ、このような矛盾や過ちもありましたが、「情報公開政治」の新しい一歩を踏み出せたことは、政権交代の大きな「功」といえましょう。
 さて、それでは「罪」は何か、それは現内閣が反動政治に走る危惧から充分に予測はできますが、いまはまだ論じる時期ではないと私は思っています。ただ、企業経営では「売り上げアップ」と「コスト削減」の両輪で「健全経営の利益の確保」を求めていくように、国家も同じく、どのように「歳入を増やしていくのか」あるいは「国民の幸せを提示していくのか」、過去の亜流に陥らず先見性のある青写真を具体的に示すことが政府の責務です。

 それでなくても国にお金がないときに、「高速道路の無料化」など国民が特に望んでもいない愚策を実施する必要はないのです。また「子ども手当て」などお金をばら撒いても、「子ども手当て」が必要な家庭ほど、苦しい生活で本来目的には使いません。賃金がジリ貧傾向にある現実では一般庶民はお金を使わず、不安な将来に向けて大口消費を控えています。

 もし政府が本気で景気を刺激したいのなら、「国民が安心できる将来ヴィジョン」と目先の票を追わない「真に思想のある政策」を打ち出すことです。企業でも「バラマキ政策」で発展した企業はありません。将来対策なくして発展なし、いまこそ企業も値下げだけで一時の利を追わず、政治もバラマキで一時の票を追わず、「明日のための今日の施策」を打つことが大切なのではないでしょうか。

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