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2009年11月17日 (火)

低価格社会の先に

51 690円のジーパン、180円のお弁当。価格のダウンは、とどまるところを知りません。ラーメン1杯食べても800円するお店はざらにあるのに、ラーメン代でジーパンを買ってお釣りがくる。駅弁だって1000円は当たり前なのに、なんとおかずとごはんがついて、500円玉に40円足せば3人分も買えてしまう・・・・。これら大手スーパーなどでは「大量に原材料を仕入れたので」とか「OOOOで加工の手間を省いたので」とか、たしかにもっともらしい理由を述べていますが、どう考えても並みの努力やルートでは到達し得ない価格に接すると、こっそり裏側を見せてもらいたい気になります。

 スーパーやコンビニでは、いままで店頭に並んでいた有名食品が姿を消し、そのスーパーやコンビニ店のマークの入ったプライベートブランドがあちらにもこちらにも売り場を席巻しています。では、かってのメーカーはどうしているかといえば、そのPB商品の生産会社として供給を担っているところが少なくないようです。つまるところ「泣く子と地頭には勝てぬ」ならぬ「泣く子とスーパー・コンビニには勝てぬ」といったところでしょうか。

 そんな中で先月、ある老舗の納豆メーカーがスーパーやコンビニのプライベートブランドを請負い、3パック58円の納豆を供給していたのですが、とうとう倒産してしまったのです。いくら売っても儲けがないことが原因でした。おそらく、この納豆メーカーに関連した零細企業や農家もさまざまあるはずで、倒産企業の方々のご家族はもちろん、その関連会社の方々やご家族も、この冬をどのように越されるのか、思わず顔が曇らざるを得ません。

 価格が下がることは、一見、消費者にとってありがたい話なのですが、もう信じられないくらいの価格というのは、それはどこかの適正利潤をも削っているわけで、そのしわ寄せを受けた企業では賃金カット、従業員の解雇など、さまざなひずみが生まれていることも想像に難くありません。高額商品が売れない、価格が下がる、賃金が下がる、さらに価格が下がる、まさに市場が「デフレスパイラル」に陥ってきているのが現状といえましょう。

 そこで、もうすでに、こういう低価格競争には組しないという企業も現れてきています。
 現に経営者と従業員で話し合った結果、独自の路線を行こうと決めた会社もあります。結局、低価格競争の消耗戦に参加すれば、最後は企業も従業員も疲れきって倒産という図式が見えてきたからです。ではどうするか、彼らの出した答えは「差別化」です。販売店が大手企業がどんなに圧力をかけてきても、他社にはない独自性をもった優れた商品を持てば、自立していけるという考え方に立ったのです。

 消費者にとって企業の真のあり方とはどのようなものか、低価格のみ追い続ける愚から、そろそろ市場は卒業しなければならないのではないでしょうか。「タコの足食い」のような、自分で自分の体を蝕んでいくような消費行動を消費者にさせるのではなく、世の中の景気が本当によくなり、社会全体が発展していくような「次なる幸せのステージ」を模索しなければならない時が、もう、直ぐそこまで来ているように私には思えるのです。「次なる幸せのステージ」―――そんなモデルとなる企業がドンドン出てくることを、私たちは大いに期待したいものです。

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