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2009年3月 9日 (月)

宇宙飛行士の最終試験

33  3月8日のTV「NHKスペシャル・宇宙飛行士の最終試験」という番組で、日本で初めて飛行士2名が選ばれる過程が放映されました。
 その選考試験はまるで夏の甲子園のようで、全国から963名が応募、書類選考で「英語力」が審査され、その後1次選考,2次選考,3次選考と8ヶ月間をかけて最後の10名までに絞り込まれ、1週間の最終選考で3名以内が決定されます。その選考場所に初めてカメラが入り1週間、密着取材が行われました。

 銀行の金庫のような厚い扉が閉められ一切の外出禁止、宇宙船を想定したような環境で1週間、すべてをテレビモニターが映し出すプライベートのない生活をします。その間、グループ分けされたチームに課題が与えられ、その映像が別の場所にいる審査員たちにチェックされ評価の対象となります。

 まずチームに与えられた課題は、「人を癒すロボットをつくれ」。
 限られた時間の中で、どのようにロボット完成までこぎつけられるか、「宇宙飛行士の資質」である「リーダーシップ」が試されます。スタートしてまもなく、ひとりだけ胸と背に被るゼッケン「H」を、「I」につけまちがえたメンバーがいました。これも審査員からは、減点対象。宇宙では、小さなミスが命取りになることも少なくないからです。

 その間、「特技を生かしてどのように皆を楽しくさせられるか」で「人を和ませる力」を評価されます。折り紙を配って「時間内に折鶴をどれだけ折れるか」で、細かい同じ作業の繰り返しからの成果と合わせ「ストレス耐性」を評価されます。その後突然、出来上がったロボットに審査員から「もっとおもしろいものに」と注文がつけられて、ほとんどないような短い時間で「どれだけ要請に応えられるか」で「緊急対応能力」を評価されます。

 実は、これらの能力はすべて、宇宙飛行士の資質として実際に必要とされるものなのです。つまり、今回の採用は、スペースシャトルのリーダーとなれる人物の採用であり「リーダーシップ」が、宇宙の中でストレスをためた人々を癒す必要性から「和ませられる」資質が、細かい作業を根気よくやり遂げる必要から「耐性」が、そして現実にあった教訓で、スペースシャトルが宇宙で故障し3名が地球に戻れない危機に直面した時、存在しない機器をすばらしいチームワークで冷静に作成し奇跡のように地球に生還した事実から「緊急対応能力」が求められているのです。

 そして最後の資質を今度はNASAに直接行って、宇宙に行った土井さんを含めた実際の宇宙飛行経験者7名によって面談テストをされます。その資質の最後は、「宇宙飛行士としての覚悟」です。その面談で、審査員たちは希望者の人物の本質を見抜くのです。つまり「あなたはダレなの?」。

 このようにして10名の最終候補者の中から、厳しい審査に合格して見事2名の新宇宙飛行士が選ばれました。ひとりは、全日空で副操縦士として国内線や国際線のパイロットをしている大西卓哉さん33歳。もうひとりは、航空自衛隊で戦闘機などのテストパイロットとして経験を積んできた油井 亀美也(ゆい・きみや)さん39歳です。2人は、早ければ4年後に国際宇宙ステーションに滞在することになるそうです。

 さて、「リーダーシップ」「人を和ませる力」「ストレス耐性」「緊急対応能力」「覚悟」――これらが今回の宇宙飛行士の最終選考基準でした。よくみるとおわかりのように、「経営者」や「経営幹部」にも必要な資質と能力であることがわかります。つまり、これらの能力は一言でいうならば「人間力」です。この「人間力」は宇宙に行かなくても、地球上においても、やはり「魅力と能力のある人物の資質」と言えるのではないでしょうか。

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