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2008年11月10日 (月)

オバマ氏の勝利宣言に学ぶ

20_3  オバマ氏が、とうとうアメリカの大統領になることが決まりました。        
 候補者選びの予備選でヒラリークリントン氏と激戦を勝ち抜き、最後はマケイン氏と熾烈なシーソーゲームを展開し、皮肉にもアメリカの金融危機を追い風にして圧勝しました。

 このロングランの大統領選挙を見ていると、つくづくアメリカは言論の自由の国で、しかもTVでは、正々堂々と言論のバトルを同じ土俵でするところが何とも気分がスカッとする思いがします。また、スピーチをしても、人々をひきつける説得力に富んでいて、「自分の理念を夢をもって語れる」ことが政治家の資質であることがわかります。

 それに引き換え日本では、政治家が公では役人のしたためた原稿を棒読みしかできないし、自分の言葉で話すと、とたんに無見識の馬脚を現した失言・放言で命を落とす者の何と多いことか。そもそも国会対策委員なるものが存在して、議会の前に与党と野党で裏シナリオをつくるなど、これではいつまでたっても言論による真の議会政治は行われないでしょう。料亭での談合政治がなくならない限り、日本の議会政治はアメリカに及ばない気がします。

 さて、それでは、オバマ氏がどのような勝利宣言をしたのか、ちょっと長くなりますが、いくつかを拾ってみましょう。まず、冒頭からして違うのです。
――― 「シカゴのみなさん、こんばんは。アメリカは、あらゆることが可能な国です。それを未だに疑う人がいるなら、今夜がその人たちへの答えです。建国の父たちの夢がこの時代にまだ生き続けているかを疑い、この国の民主主義の力を未だに疑う人がいるなら、今晩こそがその人たちへの答えです。」

 いかがですか。まず何よりも注目したいのは、聴衆と自分との距離が違います。
―――「老いも若きも、金持ちも貧乏人も、そろって答えました。民主党員も共和党員も、黒人も白人も、ヒスパニックもアジア人もアメリカ先住民も、ゲイもストレートも、障害者も障害のない人たちも。アメリカ人はみんなして、答えを出しました。アメリカは今夜、世界中にメッセージを発したのです。私たちはただ単に個人がバラバラに集まっている国だったこともなければ、単なる赤い州と青い州の集まりだったこともないと。私たちは今までずっと、そしてこれから先もずっと、すべての州が一致団結したアメリカ合衆国(United States of America)だったのです。」

 今回の選挙で注目すべきは、オバマ氏がどうやって選挙資金を集めたかです。
―――「大統領の職を目指した人たちの中で、私は常に決して有力候補ではなかった。最初からたくさんの資金があったわけでもなければ、大勢の後援を受けていたわけでもありません。私たちの選挙戦はワシントンの広間で始まったわけではない。この選挙戦は(アイオワ州)デモインの裏庭で始まった。(ニューハンプシャー州)コンコードの居間で始まった。(サウスカロライナ州)チャールストンの玄関ポーチで始まったのです。この選挙戦は働く人たちがなけなしの貯金をはたいて、5ドルや10ドル、20ドルを提供して、そうやって築き上げていったものです。」

 そして圧巻は、アメリカと黒人の辛い歴史を、一人の黒人女性の人生にダブらせて長く語ったことです。
―――「けれども私が今夜なによりも思い出すのは、アトランタで投票したひとりの女性の物語です。彼女はほかの何百万という人たちと同様に、この選挙に自分の声を反映させようと行列に並びました。ただ1つだけ、ほかの人と違うことがあります。アン・ニクソン・クーパーさんは106歳なのです。」
―――「そして今年、この選挙で、彼女は指でスクリーンに触れ、そして投票したのです。なぜならアメリカで106年生きてきて、幸せな時代も暗い暗い時代もこのアメリカでずっと生きてきて、クーパーさんは知っているからです。このアメリカと言う国が、どれほど変われる国なのか。    Yes we can。
―――「今この時にこそ、私たちは人々がまた仕事につけるようにしなくてはなりません。子供たちのために、チャンスの扉を開かなくてはなりません。繁栄を取り戻し、平和を推進しなくてはなりません。今この時にこそ、アメリカの夢を取り戻し、基本的な真理を再確認しなくてはなりません。大勢の中にあって、私たちはひとつなのだと。息をし続ける限り、私たちは希望をもち続けるのだと。そして疑り深く悲観し否定する声に対しては、そんなことできないという人たちに対しては、ひとつ国民の魂を端的に象徴するあの不朽の信条でもって、必ずやこう答えましょう。 Yes we can。
ありがとう。神様の祝福を。そして神様がアメリカ合衆国を祝福しますように。」

 全文を掲載できないのが残念です。でも、もうおわかりのように、彼の演説のコンセプトは「Yes we can。」です。もちろん、オバマ氏の政治家としての力量は未知数です。しかしながら政治家や経営者に限らず、リーダーとは、どのような「理念とこころざし」をもって人の上に立つべきかを、彼の演説が私たちにしっかりと教えてくれています。

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