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2008年7月 7日 (月)

経営者が陥りやすい「短絡的な手段決定」とは

175  まだ私が幼稚園くらいの頃、年の暮れ「酉の市」の時だったと思うのですが、父に連れられて行った新宿・花園神社の「見世物小屋」で、「ろくろっくび」を見た覚えがあります。
  「見てください、見てください、親の因果が子にたたり・・・・はなちゃんだよー」という言葉に合わせ三味線、太鼓の音が鳴り響くと、何と、あれよあれよという間に、日本髪を結った美しい女性の首が、にょろにょろと伸びていくではありませんか!
 私は目が点になり、横にいた父の顔を見上げると、ニコニコ笑っているではありませんか。それを見て、なぜ?という気持ちと、ちょっと安心した気持ちになったのを覚えています。なぜ、こんな見世物が商売として成り立ったかといえば、当然のことながら、観客席からは楽屋裏の仕掛けが見えないことに加え、幼児の私には裏の姿が想像すらできなかったからに他なりません。

 さて話は変わって、未成年者にタバコを吸わせない目的で導入された「タスポ」は、その利用率が何と25%にしか進んでいないそうです。その間、どのような結果を生んだかといえば、街のタバコ屋さんがバタバタと廃業、コンビニのまとめ買いが増えただけとなっています。

 また、二酸化炭素の排出量を減らすために、「夜間のコンビニ営業を規制する法」をつくろうという動きが地方行政であります。その理由の中に「生活習慣を変える機会にもなる」という大きなお世話の話も聞こえてきます。街から交番が消えていく今日、いまやコンビニは「女性の帰り道の安全を守る大切な灯りと逃げ込み場所」という女性たち自身の声もあり、コンビニの価値とは何かという視点からも論じる必要があります。
 そもそも、本来目的はCO2の削減のはず、ところがコンビニの灯りを消したところでそのCO2の削減効果は0.なんとか%という数字にしかなりません。このように数字的なカウントもしないで、たまたま為政者が自分の思いつき?で無価値と思ったコンビニを槍玉に挙げるのはあまりにも発想が短絡的といわれてもしょうがないでしょう。

 もうひとつお話しすると、ある地方自治体ではトップの号令で、庁舎の排出ゴミを減らすモデルとして、庁舎内にある弁当販売店でのレジ袋を禁止し職員にエコバッグの持参を義務付けました。その結果、昼時のプライベートな時間まで「ああしろこうしろ」とお上から言われたくないからか、庁舎内での弁当業者は売り上げが激減し、コンビニでの弁当購入が増え、庁舎内で捨てるゴミの量は変わっていないそうです。

 さて、これら「タスポ」「夜間コンビ二規制」「庁舎のゴミ袋」の3つの事例に共通することは何か。それは、為政者が「ある目的」を達成するために決めた「ある手段」が、本来目的を達成することができないどころか、かえって弊害を生んでしまっていることです。
 では、なぜ、このように本来目的の達成はおろか、弊害を生む結果になってしまうのかというと、それはひとえに為政者が「ろくろっくび」を観客席からしか見ていないからなのです。
 いいかえれば、為政者の一元的なものの見方と判断が、大きく誤っているということに他なりません。さらにいえば、「ある目的を達成するための手段」は数限りなくあるはずなのに、その検討をすることを怠り、一足飛びに「短絡的な手段決定」に至ってしまうからです。実は、この「短絡的な手段決定」こそ、経営者が部下の信頼を失う最も陥りやすい「落とし穴」でもあるのです。経営者の失敗の多くは、この「短絡的な手段決定」に原因があるといっても過言ではありません。

 では、目的に対する手段決定をどうしたらよいのでしょうか。
その正解は、まず「手段検討」を信頼する部下のチームに任せ、案のメリットとデメリットも合わせ複数回答をさせることなのです。戦国時代、京都に近く領地があれば天下をとっていたであろう武田信玄は、臣下に策について話し合いをさせ、その結果、最終結論を下したのが、有名な「武田の軍議」です。
 このように、手段の検討を行い、つぎに関係者の現場の声を自ら多角的に聞き、その上で「最適と判断される手段を意思決定する」ことが正解です。
「ろくろっくび」には楽屋裏がある!経営者は自らが「短絡的な手段決定」をする前に、多角的な軍議を経て意思決定することが重要です。

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