« 中から見るのと、外から見るのとは | トップページ | 信頼を失った企業に、再生の道はあるのか »

2008年6月23日 (月)

トップリーダーに、スウィッチが入るとき

 月刊「文芸春秋」に、元外務官僚・佐藤優氏が、「インテリジェンス交渉術」という連載で記事を載せています。彼は、現在、背任・偽計業務妨害容疑で係争中ですが、エリツインに北方4島の返還を決意させたロシア通の外交官として大きな裏方の役割を果たしました。
 この連載を読むと、彼がいかに切れ者かがわかると同時に、日本という国が「ロシアを最も知っている男」として外交官の彼を失ったことが、北方4島返還の可能性をほとんど遠いものにしてしまったことを感じずにはいられません。また、国際政治の権謀術数、魑魅魍魎の跋扈振りが手に取るようにわかり、単なるきれいごとの世界ではとても通用しない、国家と国家の威信をかけたドロドロした駆け引きの中で世界が動いていることがよくわかります。

 さて、その連載のなかで、彼は日本の小渕総理とロシア大統領・エリツイン、後継者のプーチンと小渕氏のあとを継いだ森総理との交渉時において、いかに総理が日本を背負い不退転の決意で臨んでいたか、そのトップの孤独と苦悩を見事に描いています。その記述の中で、佐藤氏など周辺から情報収集をした末に、日本の総理がいよいよ本気でロシアとの交渉の腹を決めた瞬間を、「総理にスウィッチが入った瞬間」と表現していることにゾクッとした感銘を覚えました。

 一国を背負い歴史を動かす決断は、まさに己の政治生命の全てを賭けた瞬間でしょう。人は誰でも人生の中で、そう多くないチャンスと同時に試練に立たされ、考え、決断し、行動しなければならないものです。この「スウィッチが入る」という表現は、誰もが自分の人生の岐路に立った時に、決断をして命を賭ける重要なキーワードであると考えます。

 経営もビジネスもまさに同じで、人生勝負どころで「スウィッチが入る」ことが、何はさておき成功の条件となるでしょう。総理の話に戻せば、いま福田総理の支持率が低い原因はたった一つ、それは「国民のために本気でやりたいことがない」ことです。極端なことを嫌い穏便にと、さまざまな意見の中庸をとろうとしているので発言がつねに「他人ごと」です。
 これは私たちにとって他山の石で、経営者は、まず、お客様のために、従業員のために「命をかけてやりたいこと」がなければなりません。これが経営者の最低条件です。やりたいことがなければ、トップリーダーの立場に立ってはなりません。そして、何をすべきか、何時すべきか、ここが勝負時を逃さず、「スウィッチが入る」自分を強く意識する必要があります。

|

« 中から見るのと、外から見るのとは | トップページ | 信頼を失った企業に、再生の道はあるのか »

ビジネス」カテゴリの記事

経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 中から見るのと、外から見るのとは | トップページ | 信頼を失った企業に、再生の道はあるのか »